ブログを読んだ知人が口々に、「体調、大丈夫?」と聞いてくれます。
ご心配をおかけし申し訳ありません。
忙しさとプレッシャーで、食事がおろそかになっていたせいもあるのでしょう。
生活が少し落ち着いてきたこのごろ、手抜きながらも三食きちんと食べるようになり、体力気力ともに回復してきました。
改めて、食事の大切さを痛感しています。
そこで、数日前のブログ「さよなら 寝台特急 日本海」で触れた佐藤初女さんのことを是非書かねばと思い出しました。
初女さんは弘前在住の90歳(多分)の女性です。
もとは染色を指導されていたのですが、その人柄を頼って多くの人が悩みの相談に訪れるようになりました。そのたびに初女さんはただ話に耳を傾け、ありあわせの食材で料理を作り、食事を共にされていたようです。
険しい表情だった人が、最後には穏やかな表情になって帰っていかれる、その様を見て、「食は命」と実感されるに至ります。
評判が評判を呼び、自宅では手狭になり、岩木山の麓の雄大な自然の中に、宿泊施設「森のイスキア」を建てられ、数名のスタッフの方と共に、全国からやってくるお客様をもてなされています。
どうしても初女さんの作られたお料理を食べてみたくて、3年前に訪れました。
そのときいただいた心づくしのお料理は本当に美味しく、今でも忘れ難い体験です。
「食が進むわ」と、お客様がじゃこ山椒を買い求めてくださるのを見るにつけ、私も食にかかわる仕事に就いたのだと実感する毎日です。初女さんのようにはいきませんが、私もお客様との語らいを大切に、ささやかながら豊かな食を提供するお手伝いを出来たらと思います。
開店して10日ほどです。
「おいしかったよ」と二度三度、いえいえ四度五度と訪れてくださる方もあり、心底ほっとしています。
今日、一人で来られた中年の男性、お勘定を済ませて商品をお渡しすると、
私の目を見てひとこと、
「おきばりやす」と…。
お客様の反応にビクビクし、自分で感じている以上に緊張した毎日を送っているのでしょう。
さりげない言葉でしたが、
なんか…、
とても…、
胸に沁みました。
またご来店くださることを祈っています。
今日は寒い一日でした。
そんななか、大きなペットボトルをいくつも提げたお客様がご来店。
下御霊さんに名水を汲みに行かれるとのこと。
下御霊さんといえば、店からほんの数メートル北にある神社です。
地元の氏神様にまだご挨拶をしていなかったことに気づき、帰りに寄ってみました。
鳥居をくぐるとすぐに名水を汲んでいる方の姿があり、本殿脇の大きな紅梅の木が満開でした。
この地に店を構えることが決まって以来、寺町商店会はじめ地元の皆様にはとても友好的に迎えていただき、感謝しています。
「近くに出来てうれしいわ」と、ご近所の方がたくさん来店してくださっています。
5月には下御霊さんのお祭りが盛大に行われるそうです。
新参者の私たちですが、その頃にはすっかり地元に溶け込んで、お祭りに参加できたらいいなぁ、なんて思っています。
巣立ちの季節、晴れ着の親子連れや学生さんの姿をよく見かけます。
私たちもこの春、起業という大きな節目を経験し、開店して9日が過ぎました。
打ち合わせやあれこれ、連日、奔走してきましたが、今は店に詰める毎日です。多くの職人さんや業者さんが出入りされていた店の奥の作業場も、気づけば私たち家族だけ。
開店日に向けて走り続けてきたので、今、ちょっと、祭りのあとのような虚脱感も…。
多くの方に引っぱっていただきながら、ここまで辿りつけましたが、これからは、なんでも私たちで決めていかなければなりません。
暖簾分けという立場、引き継ぐべき部分と、変えていくべき部分を見極めながら、自分の頭で考え、自分の心で感じ、自分の体力の許す範囲で、私たちらしい店作りを模索していきたいと思います。
巣立ったばかりのヒナです。あたたかく見守ってくださることを切にお願いします。
私は店まで毎朝、地下鉄で通っています。
烏丸線の丸太町駅で降り、竹屋町通りを東に向かって歩きます。
京都は碁盤の目になっているとはいえ、ところどころ行き止まったり、蛇行したりしています。竹屋町通りも寺町通りでいったん行き止まり、その先には西国三十三ヶ所巡りの19番札所、通称「こうどうさん」があります。
右に御所南小学校、左に裁判所の桜並木の通りにさしかかる頃には、真正面にこうどうさんの門が見えてきます。
顔を上げて歩いていると、まるで本堂に吸い込まれていくような不思議な錯覚に陥ります。寺町通りの角まで来ると、観音と書かれた大きな赤い提灯がのぞきます。
私、実は観音様の大ファンなんです。それも、山里のひなびたお寺にひっそりと佇んでいらっしゃる観音様が大好きです。
滋賀の湖北、木ノ本あたりには、こうした観音様が多くいらっしゃり、よく通いました。京都駅から新快速で90分、木ノ本の駅に降り立つと、「観音様のお導き」と書かれたポスターが迎えてくれます。
寺町なんて素敵な街に店を構えられるとは思ってもいませんでした。もしや、木ノ本の観音様たちが、こうどうさんの観音様に引き合わせてくださったのかも、なんて思っています。
起業を決めてから開店まで、本当に短い準備期間でした。忙しさのあまり、家族皆、決して体調はよくありません。
観音様にもう一つお願いが…。
どうか、家族皆が健康でいられますように。
このところ、テレビや新聞に目を通す時間もなく過ごしていました。
夕べ、たまたまテレビをつけると、寝台特急日本海のラストランに多くの人が詰め掛けたとのニュースが。大阪から青森を15時間かけて走る夜行電車です。
3年前、この電車に乗ってひとり旅をしました。目的は弘前で「森のイスキア」という宿泊施設を主宰する佐藤初女さんに会うことでした。
その話はまたの機会にするとして…。
ひとり旅大好きな私も、初めての寝台車に少し緊張して乗り込こみましたが、お隣は素敵な老紳士でした。やはりひとり旅が好きな方で、これまで行った旅先での楽しいエピソードをたくさん話してくださいました。
このままずっと電車に揺られながら、話を聞いていたいなと思うほど楽しい時間でした。
できるなら、もう一度会いたいなと、今でも思い出します。
栃木の方ですが、旅好きなら、京都に来られることもあるかも。
うちの店をひょっこり訪ねてくださらないかな、なんて奇跡を夢見ています。
きのうの開店日にはたくさんのお客様にご来店いただき、ありがとうございました。
行き届かない点も多々あったことと思いますが、また足を運んでくださることを祈っています。
今日は久々に明るいうちに、私ひとり店を出ました。久々に自宅で家族揃って食事らしい食事が出来そうと、帰路、買い物をして外に出ると…。
西のお空に赤いまんまるいものが。
疲れのピークはとっくに過ぎて、クライマーズハイのような毎日。
そんな私に、
「まる!」
って言ってもらったような気がしました。
お天道様は、ちゃんと見てくれている?
去年の11月28日に夫は退職。
以来、物件探しから、改装、開店準備と、いいご縁に恵まれ、とんとん拍子で進んできました。それにひきかえ、自分たちの中身が伴わないことの不安がいつもつきまとっていました。
まわりの方たちの支援に応えられるよう、精一杯やってきました。
ここ数日は、行きつけのドラッグストア一押しのドリンク剤を飲んで頑張っています。
それでもまだまだ行き届かないところばかりです。
そうはいっても、もう幕が開くぅ、どうかご容赦を!
今日は大安、当初、この日を開店日にするつもりでした。
けれど、定休日にするつもりの水曜日でもあります。
よって、開店日を先勝の二日後にし、大安の今日は折り込み広告を入れる日にしました。
起業を決めてから、やたら暦が気になります。
折り込みは、店舗を構える寺町周辺のみ。
なので、北区に住む我が家には入らず、私はデザインは決めたものの、当の広告を見ていません。
果たして、どんな感じだったのでしょう???
とある方から、滋賀県坂本の律院という寺院に立派な阿じゃり様がいらして、毎日、全国から集まる護摩木の法要を行われていると聞きました。 誰でも飛び込み参加でき、あとにはお食事の接待もあるとか。なにしろ心が清々しくなるのよ、とのこと。
以来、しんどいなぁという時、一人でふらりと訪ねるようになりました。こんな気まぐれ信者ですが、阿じゃり様は誰でも分け隔てなく、気さくに応対して下さいます。
開店準備に心身ともに疲れもピークに。今日はついにギブアップ、フリータイムをもらい、律院へ行ってきました。
あいにく阿じゃり様は不在、護摩法要は4時からとのこと。仕方なく家族4人分の護摩木を託して帰ろうとしていると、若いお坊様が「今からお勤めをしますので、ご一緒にいかがですか?」と…。律院の古くからの信者さんと二人でご一緒させていただきました。
「精一杯やっても、どうにもならないことは、『お任せする』と、気が楽になりますよ」と、読経のあと、話してくださいました。
開店準備、精一杯やっているつもりですが、これで大丈夫とはとてもいえません。私は今まで携わっていなかったもので、本当ににわか勉強、プレッシャーに押しつぶされそうな気分になることも…。
今日のお坊様のお言葉、胸に沁みました。
行き届かないところがあることと思いますが、どうかお許しをいただくとして、なんとか元気で開店日を迎えたいと思います。
「においの出る業種は嫌がられます」
店舗物件を探している時、どこの不動産屋さんでもまず言われたものです。
じゃこ山椒を炊く際、やはり醤油や山椒のにおいがたちこめます。私たちにはいいにおいでも、そこは嗜好のもの、嫌なにおいと思う方もあるやもしれません。
そこで改装工事に入る際、なにはなくても、ダクト(換気扇)だけは最大限のものを取り付けてもらうようお願いしました。
改装工事中、様子を通りから眺めていると、あたりからはいろいろなにおいが漂ってきます。パンを焼く香ばしいにおい、ケーキの甘いにおい、そばの出汁をとるかつおのにおい、弁当屋さんの日替わり定食でしょうか、魚を焼くにおい、風向きによってはお茶の香りまで…。
こうしたにおいを嗅いでいると、人の営みが感じられるようで、うれしくなってきます。
そして、今日、我が店舗にも初めてにおいがたちこめました。
うちの二代目、長男が、父親の指南のもと、初めてじゃこ山椒を炊いたんです。
最大限のダクトとはいえ、外ににおいが漏れることもあるかと思います。
「いいにおい」
と思っていただけるよう、修行していくことを祈っています。
うちの家族は皆、アナログ人間です。
数年前、世の流れと、家人達の性格を鑑み、これはもう私がやるしかないと決意。パソコンのハード面を勉強する教室に通いました。
意味不明の文字が並ぶ分厚いテキストと格闘、ついにパソコン整備士2級を取得しました。ずいぶんマニアックな内容でしたが、今になってやっておいてよかったと思うことしきりです。なにしろ起業にWEB対応は必須ですから。
そうは言っても、資格を取っても実践に役立つとは限らないのは、どの分野も同じこと、各種機器と取扱説明書を前に唸る毎日です。
そんな私の横で夫がポツリ。
「やっぱりアナログが一番や」
もおぉ!
狭い店内ながら、壁やコーナーには、なにかアートを展示したいと考えていました。
思いついたのは、アマチュアながら入賞経験豊富な和歌山在住の友人。快く承諾してくれ、今日、高速を飛ばして、大きな額入りの写真を3点、届けてくれました。それは素敵な写真です。
まだ雑然とした店内、とりあえずピクチャーレールに吊った状態なので、お見せできませんが、彼女の作品を一点をご覧下さい。
35年前、現在94歳になる母が「しののめ」を創業した時、夫は大学生でテニス三昧の日々。その後、家業に加わるも、創業時のノウハウは知りません。
母の記憶を頼るも、時代は様変わり、右往左往することばかりです。
そんな中、なにより心強かったのは、創業時からお付き合いのある仕入先の方々からのアドバイスでした。
開店間近の大安の今日、そんな仕入先の皆さんに、改めて開店の報告とお礼に回ってきました。
あいにくの雨でしたが、
雨降って、地固まる
決して平坦ではなかった独立までの経緯を、今日の雨が洗い流し、地固めをしてくれたようにも思います。
古来より、人はいいにつけ、悪いにつけ、ことわざに思いをのせて、しのいできたのかもしれません。
このところ、しきりに思い浮かぶことわざといえば…、
捨てる神あれば、拾う神あり
渡る世間に鬼はなし
です。
雨の日に店先に置く陶器の傘立てを探していたところ、夷川通りによさそうなものが並ぶ陶器店を発見。
どれがいいかと悩んでいると、店番のおばあちゃま曰く、「いくつか持って行って、置いてしっくりいくものに決めたらええ」
私たちのことを微塵も疑う様子はありません。
お言葉に甘えて、第一候補の角型のものと、第二候補の丸型のものをお借りし、店先に置いてみました。
しっくりいったのは、以外にも第二候補の丸型のもの。
もちろん、陶器店に戻って、ちゃんとお勘定しました。
おばあちゃま、私たちが改めて傘立てを車に積み出発するまで、にこにこ顔で見送ってくれました。
開店準備の忙しさから、イライラしがちなこのごろ、丸い傘立てを見ていると、おばあちゃまが笑顔で「まぁるく、まぁるく」と言っているような気がします。
雨の日のご来店は大変でしょうが、ちょっと、この傘立てに目をやってみて下さい。
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