春爛漫、店の近く、裁判所まわりのしだれ桜が満開です。
今年は名所のお花見は行けそうにありませんが、こんな春もいいかなと…。
去年はどうしていたっけと考え、思い出しました。奈良県宇陀市の又兵衛桜を見に行ったんでした。
去年1月に、画家小泉淳作氏の展覧会が京都でありました。86歳で完成させたという奈良東大寺本坊の襖絵完成記念ということでした。満開の桜が描かれた襖絵があまりに素晴らしく、そのモデルとなったのが又兵衛桜と知り、どうしても見たくなったんです。
電車とバスに徒歩と、かなり辺鄙な場所でしたが、着いてみると、生憎つぼみは固いまま。それでも京都の観光地で愛でる桜と違い、孤高の姿に胸打たれるものがありました。枝の目立つ木に、襖絵の満開の花びらを重ね合わせて想像してみるのも一興でした。
氏は京都の知人から送ってもらう野菜を写生するのが常だったようですが、氏の描く野菜は驚くほど生命力に満ち溢れています。
86歳にして大仕事を終えたあとの氏の言葉。
「あとは今までと同じ、冬になれば蕪を見つめ、夏になれば茄子を見つめる生活に戻るだけである」
今年1月、88歳で亡くなられました。
あっぱれな人生に感服です。