ご挨拶が遅れましたが、3月16日、「しののめ寺町」は5周年を迎えることができました。ひとえにご愛顧くださっているお客様、お世話になっている皆様のお蔭です。心よりお礼申し上げます。
5年というと、皆さん「早いねぇ」と仰います。が、私には長い長い年月でした。「ほぼ専業主婦」から、突然、飛び込んだ商売の世界。右も左もわからないまま始まった生活は、毎日が未知の連続。文字通り、生まれたばかりの赤ん坊が、ようやく5歳になったようなもの。子供の頃、一年は途方もなく長く感じられたものです。まさにそんな時間感覚なのだと思います。
5年前の開店の日、5年後のことなんて全く考えられませんでした。一日を無事に終え、翌日ちゃんと店を開けられる。ただそれだけを考えて過ごしてきた毎日。気づけば5年…。積み重ねてきた年月の重みを、改めて実感しているところです。
ともあれ5周年は一つの節目。なにか記念になることを考えなければいけません。1周年には【じゃこ山椒】にちなみ、山椒を使ったお菓子【山椒メレンゲ】を、ご近所の洋菓子店シェ・ラ・メールさんにご考案いただきました。
今回は山椒を使った調味料はどうかと、日頃からお世話になっているユーサイドさん(http://u-side.co.jp/)にご相談したところ、【山椒まよねーず】ということに。長年にわたり、上質なものづくりに取り組まれている会社さんです。味と品質は間違いなし。仕上げにお洒落なラベルを貼っていただき、こんな素敵な商品が完成しました。
なんだか色白のべっぴんさんに見えませんか? ぽっと頬を赤らめた女の子のような。おかっぱ頭のこけしのような。とにかく可愛いこと、このうえない!
これまでも季節限定商品やコラボ商品というのは、いくつか試みてきましたが、今回はちょっと大掛かりな企画。実のところ、失敗に終わり、在庫をたっぷり抱えたらどうしよう、なんて不安でいっぱいでした。そんななか、実績あるユーサイドさんからいただく励ましやアドバイスは、とても心強いものでした。おかげで前向きな気持ちで進めることができました。
いざ販売を開始してみると、山椒とマヨネーズという斬新な組み合わせ。佃煮屋にマヨネーズというのも意外性があったのでしょうか。思いのほか興味を持っていただけたもよう。店に置くなり、人気となっています。ご購入くださったお客様が、フェイスブックやブログに載せてくださり、それをご覧になって来られるお客様も。これまでにない反応、感じたことのない動きに、驚いているところです。
開店から5年とはいえ、もとは40年続く店からの独立。一からの開店とはまた違った難しさに、葛藤の5年でもありました。もとの店との関係、味やサービスの違い…。比較されることは独立した店の宿命と理解しながらも、時にしんどく思うこともありました(ブログ味2)。
守るべきものは守りながらも、自分たちらしい店作りをしたい。唯一無二の店に育てたい。そう願いながらも、それがどういうものなのか、いまひとつ掴めずにいたのです。そこに誕生した【山椒まよねーず】。こんなことを言ってくれているような…。
もっと自由でいいんだよ。可能性は無限にあるんだよ。それを望むことが、即ち、唯一無二ということ。
もとの店と比較し、見えない枠に囚われていたのは、私自身だったのかもしれません。そうした枠を【山椒まよねーず】は、軽やかに蹴散らしてくれました。
大きな使命をもって生まれてきてくれた【山椒まよねーず】。愛おしくって仕方ない私。5周年記念に終わることなく、新たな定番商品になってくれたら。そう願ってやまないこのごろです。
「しののめ寺町」は、この先もまだ、新たな試みがいくつか待っています。今年はチャレンジの年。失敗を恐れずに、一つ一つ取り組んでいきたいと思っています。これからも気長に見守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
コメントをお書きください